訴状や申立書などの送達ができない場合、裁判手続を進めるために、相手方の住所地に居住実態があるのかを確認する必要があります。
郵便物が「宛所不明」で戻る場合もあれば、「保管期間満了」で戻る場合もあります。
同じ不送達でも、相手がその住所に住んでいないのか、住んでいるが受け取っていないのかによって、その後に検討される手続きは変わります。
その判断材料として必要になるのが、現地での所在確認と調査報告書です。
付郵便送達や公示送達の申立てでは、建物の外観、表札、ポスト、電気・ガスメーター、郵便物の状態、呼び鈴への応答、近隣や管理会社への確認など、居住実態を示す材料を整理することがあります。
この記事では、付郵便送達や公示送達に必要となる現地調査の内容、確認項目、法律事務所から依頼される調査報告書の作成について解説します。
この記事はこのような方に向いています
- 付郵便送達や公示送達のために現地調査が必要な法律事務所の方
- 送達不能になった相手方の居住実態を確認したい方
- 裁判所提出用の所在調査報告書に必要な確認項目を知りたい方
目次
付郵便送達・公示送達とは
付郵便送達とは、相手方が住所地に居住していると考えられるにもかかわらず、不在や受取拒否などにより訴状などを受け取らない場合に、書留郵便に付して発送し、一定の要件のもとで送達の効力を生じさせる手続きです。
一方で、公示送達とは、相手方の住所や居所など、送達すべき場所が分からない場合に、裁判所の掲示などを通じて送達の効力を生じさせる手続きです。
付郵便送達では「その住所地に居住している可能性」、公示送達では「その住所地に居住していない可能性」や「送達すべき場所が分からない状況」を確認することが重要になります。
そのため、現地調査では、表札、ポスト、郵便物、電気・ガスメーター、呼び鈴への応答、近隣や管理会社への確認などを通じて、居住実態を示す材料を整理します。
付郵便送達に必要な現地調査とは
付郵便送達に必要な現地調査とは、申立書などに記載された住所地に、対象者が実際に居住している可能性があるかを確認する調査です。
裁判所へ提出する資料として、現地の状況を確認し、調査報告書としてまとめることを目的とします。
たとえば、郵便物が「保管期間満了」で返戻されている場合、住所地に対象者が住んでいないとは限りません。
不在が続いているだけなのか、郵便物を受け取っていないだけなのか、居住実態がないのかを、現地の状況から確認する必要があります。
そのため、現地調査では単に建物を見に行くだけではなく、複数の確認項目を組み合わせて、居住している可能性や不在の状況を整理します。
付郵便送達と公示送達では確認する目的が変わる
付郵便送達と公示送達では、現地調査で確認したい内容が少し異なります。
どちらも不送達後に検討されることがありますが、調査報告書で示すべき方向性は同じではありません。
付郵便送達では居住実態の確認が重要になる
付郵便送達を検討する場合、対象者が申立書などに記載された住所地に居住している可能性があるかを確認することが重要になります。
表札があるか、ポストが使用されているか、電気やガスの使用状況が見られるか、近隣住民や管理会社から居住に関する情報が得られるかなどを確認します。
「住んでいる可能性がある」と判断できる材料があるかどうかを、写真や聞き取り内容とともに整理します。
公示送達では居住していない可能性の確認が重要になる
公示送達を検討する場合は、対象者が住所地に居住していない可能性や、送達すべき場所が分からない状況を整理する必要があります。
表札がない、ポストが使用されていない、電気やガスの使用が確認できない、近隣や管理会社から居住情報が得られないなど、現地の状況を丁寧に確認します。
ただし、現地調査は申立てを認めるかどうかを決めるものではありません。
調査報告書は、裁判所が判断するための確認資料の一つとして提出されるものです。
現地調査で確認する主な項目
付郵便送達や公示送達に関する現地調査では、対象者がその住所地に居住しているかどうかを判断するために、複数の項目を確認します。
一つの項目だけで判断するのではなく、建物の状況、生活感、郵便物、応答、聞き取り結果などを総合して報告書にまとめます。
建物外観・住所表示・部屋番号
まず、調査対象の住所地に実際に建物が存在するかを確認します。
一戸建てなのか、集合住宅なのか、ビルなのか。住所表示や部屋番号が確認できるか。申立書などに記載された住所と現地の表示が一致しているかを確認します。
建物外観の写真は、調査地を確認した資料として重要です。
表札・ポストの氏名表示
表札やポストに対象者の氏名が表示されているかを確認します。
氏名の表示がある場合は、居住実態を示す一つの材料になります。
一方で、表札がない場合でも、必ず居住していないとは限りません。
最近は防犯やプライバシーの観点から、表札を出していない住宅もあるため、他の確認項目とあわせて判断する必要があります。
郵便物の状態
ポストに郵便物が滞留しているか、回収されている様子があるかを確認します。
郵便物が大量にたまっている場合は、不在が続いている可能性があります。
一方で、郵便物がたまっていない場合は、誰かが回収している可能性があります。
ただし、郵便物の宛名を無断で詳しく確認したり、郵便物に触れたりすることはできません。
外部から確認できる範囲で、ポストの状態を記録します。
電気・ガスメーターなどの生活感
電気メーターやガスメーターの状態は、生活実態を確認する材料になることがあります。
メーターが動いているか、停止しているか、室内に明かりがついているか、洗濯物や生活用品が見えるかなどを確認します。
ただし、生活感がないように見えても、一時的な不在や単身生活の可能性もあります。
そのため、メーターや外観だけで断定せず、他の確認項目とあわせて整理します。
呼び鈴への応答
対象住所の呼び鈴に応答があるかを確認します。
応答があった場合は、誰が対応したのか、対象者本人か、家族か、別人かを確認できる範囲で記録します。
応答がない場合でも、その時間帯に不在だっただけの可能性があります。
調査日時を明記し、応答の有無を報告書に記載します。
近隣・管理会社への確認
必要に応じて、近隣住民や管理会社に確認を行うことがあります。
「対象者が現在も住んでいるのか」「最近見かけたことがあるか」「転居した話を聞いているか」など、居住実態に関する情報を確認します。
聞き取りを行った場合は、誰から、どのような内容を確認したのかを整理します。
ただし、個人情報に関わる内容であるため、聞き取りは慎重に行う必要があります。
裁判所提出用の所在調査報告書に記載する内容
現地調査後は、確認した内容を報告書として整理します。
裁判所提出用の資料として使用されることを想定する場合、感想や推測ではなく、確認した事実を分かりやすく記載することが重要です。
| 確認項目 | 報告書に記載する内容 |
| 調査者 | 調査を行った者の氏名、所属、必要に応じた連絡先 |
| 調査日時 | 現地確認を行った年月日、時間帯 |
| 調査場所 | 確認した住所、建物名、部屋番号など |
| 建物外観 | 一戸建て、集合住宅、ビルなどの種別、外観写真 |
| 表札・ポスト | 氏名表示の有無、ポストの使用状況、郵便物の滞留状況 |
| 生活感 | 電気・ガスメーター、室内灯、洗濯物、その他外部から確認できる状況 |
| 呼び鈴への応答 | 応答の有無、対応者、確認できた内容 |
| 近隣確認 | 近隣住民から確認できた居住情報や不在情報 |
| 管理会社確認 | 管理会社から確認できた範囲の居住状況 |
| 添付写真 | 建物外観、表札、ポスト、メーターなど、確認項目に対応する写真 |
報告書では、「住所に調査対象者が居住していることが確認できました。」「住所に調査対象者が居住していることが確認できませんでした。」
といった曖昧な表現ではなく、確認した事実を中心に記載します。
最終的に付郵便送達や公示送達が認められるかどうかは、裁判所の判断になります。
相談事例
現地調査の標準料金一覧と対応地域
| 調査項目 | 基本料金 | 特徴・詳細 |
|---|---|---|
| 付郵便送達用の現地確認 | 33,000円〜 | 建物外観、表札、ポスト、郵便物の状況、電気・ガスメーター、呼び鈴への応答などを確認します。 |
| 公示送達用の現地確認 | 33,000円〜 | 対象者が住所地に居住していない可能性を確認するため、表札、ポスト、生活感、近隣状況などを整理します。 |
| 会社所在地の現地確認 | 33,000円〜 | 法人所在地の看板、郵便受け、営業実態、建物外観などを確認します。 |
| 代表者住所の現地確認 | 33,000円〜 | 代表者住所の表札、ポスト、生活感、呼び鈴への応答などを確認します。 |
| 2か所以上の現地確認 | 2件分が基本 | 会社所在地と代表者住所など複数地点を確認する場合。近隣地域で短時間に確認できる場合は費用調整できる場合があります。 |
| 調査報告書の作成 | 調査費用に含む | 写真資料、確認項目、聞き取り内容を整理し、裁判所提出用資料として使いやすい形式で作成します。 |
| 即日・急ぎ対応 | 要相談 | 調査予定と対象地域により、即日調査や翌日報告書発送に対応できる場合があります。 |
対応地域は、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県・茨城県・栃木県・群馬県、大阪府・奈良県・福岡県、その他地域についても、調査内容と提出期限により対応できる場合があります。
法律事務所からのご依頼では、対象住所、確認したい項目、写真資料の必要範囲、報告書の提出期限を事前にお伝えいただくと、費用と対応日程の判断がしやすくなります。
付郵便送達・公示送達の現地調査で注意すべきこと
送達に関する現地調査では、確認できる範囲と、踏み込んではいけない範囲を分けることが大切です。
外部から確認できる範囲で調査する
建物外観、表札、ポスト、メーター、呼び鈴への応答など、現地で確認できる範囲を中心に調査します。
無断で敷地内に立ち入ったり、郵便物を取り出したり、室内をのぞき込んだりすることはできません。
聞き取り内容は事実として整理する
近隣や管理会社への確認では、聞き取れた内容をそのまま整理します。
推測や感想を加えるのではなく、「誰から」「どのような内容を確認したのか」を明確にすることが重要です。
申立ての可否は裁判所が判断する
探偵が作成する調査報告書は、現地確認の結果を整理した資料です。
付郵便送達や公示送達が認められるかどうかを決めるものではありません。
申立ての判断は裁判所が行います。
よくある質問
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Q付郵便送達や公示送達の現地調査は、実際に法律事務所から依頼がありますか?
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Aはい、実際にあります。訴状や申立書の送達ができず、郵便物が保管期間満了などで返戻された場合に、対象者がその住所地に居住しているか確認するため、法律事務所から現地調査と調査報告書作成の依頼を受けることがあります。
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Q即日の現地調査にも対応できますか?
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Aはい、対応できる場合があります。当日の調査予定を確認し、調整が可能な場合は即日の現地調査にも対応しています。急ぎで報告書が必要な場合は、対象住所、確認項目、希望期限をお伝えください。
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Q会社所在地と代表者住所の2か所を現地調査してもらうことはできますか?
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Aはい、可能です。会社所在地と代表者住所の2か所を調査する場合は、原則として2件分の費用になります。ただし、同一地域で短時間に確認できる場合などは、調査内容に応じて費用を抑えられることがあります。
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Q依頼してから報告書を受け取るまで、どれくらい時間がかかりますか?
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A現地調査後、確認内容と写真資料を整理し、報告書を作成します。急ぎの場合は、調査翌日に報告書を発送できることもあります。提出期限がある場合は、依頼時にお伝えください。
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Q付郵便送達の申立てに使う調査報告書の作成は依頼できますか?
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Aはい、依頼できます。対象住所の建物外観、表札、ポスト、郵便物の状況、電気・ガスメーター、呼び鈴への応答、近隣確認など、現地で確認できる内容を整理し、写真資料とあわせて報告書を作成します。
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Q公示送達の申立てに必要な現地確認にも対応できますか?
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Aはい、対応できます。対象者が住所地に居住していない可能性を確認するため、表札の有無、ポストの使用状況、生活感、近隣や管理会社から確認できた内容などを報告書にまとめます。ただし、公示送達が認められるかどうかは裁判所の判断です。
まとめ|付郵便送達の現地調査は居住実態を示す資料作成が重要
付郵便送達や公示送達の申立てでは、対象者が住所地に居住しているのか、すでに居住していないのかを確認するための資料が必要になることがあります。
現地調査では、建物外観、表札、ポスト、郵便物、電気・ガスメーター、呼び鈴への応答、近隣や管理会社への確認などを組み合わせて、居住実態を整理します。
重要なのは、調査員の感想ではなく、現地で確認できた事実を報告書としてまとめることです。
日東探偵社では、法律事務所や弁護士からの付郵便送達・公示送達に関する現地確認、写真資料の整理、裁判所提出用の所在調査報告書作成に対応しています。
この記事の監修者
株式会社Nitto(日東探偵社)本部
記事の監修担当者:獅子田純華
所在確認・現地確認・裁判所提出用の調査報告書作成に関する相談実績を重ねてきた調査担当者。
法律事務所からの付郵便送達・公示送達に必要な所在調査、居住実態確認、写真資料整理など、実務資料として使いやすい報告書作成を担当する日東探偵社の代表。

