
家族や友人など、大切な人が突然いなくなると不安や心配が募りますよね。行方不明や家出には必ず理由があります。理由を知ることで、失踪者の捜索や手がかりを見つける助けになるでしょう。ただし、子どもと大人では家出に至る理由や背景が異なるため、それぞれのケースを知っておくことが大切です。
そこで今回は、家出や失踪に至る主な理由を世代別にわかりやすく整理してご紹介します。まずは家出や失踪に共通してみられる主な原因について整理してから、世代ごとの特徴も詳しく見ていきましょう。
目次
失踪する人の割合は?世代別でわかる特徴と原因
もし、大切な人が突然いなくなってしまったら、あなたはどう行動しますか。
日本国内では、年間で90,144人もの行方不明者届け出られており、1日あたりにするとおよそ247人が突然姿を消していることになります。警察庁の統計(令和5年)では、そのうち約64%が男性です。これは経済的な理由や社会的背景が関係しており、男性のほうが家出後も生活を立て直しやすい傾向にあるためと考えられます。
年代別では10代の失踪が最も多く、次いで20代が続きます。未成年の場合は家庭内のトラブルが原因のことも多く、小さな子どもの場合は誘拐など事件性が疑われることもあります。
また高齢者の失踪も増加傾向にあり、認知症による徘徊や生活環境の変化が背景にあるケースも少なくありません。これらの傾向を知ることが、早期発見や対策に役立つでしょう。
出典:令 和 5 年 に お け る 行 方 不 明 者 の 状 況(https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/fumei/R05yukuefumeisha.pdf)
【年代別】10代の家出理由と特徴と親や周囲が知っておきたいこと
10歳未満の子どもや思春期の10代が行方不明になる背景には、それぞれ特有の理由があります。
幼い子どもは、迷子や誘拐、親とのトラブルなどによる突発的な失踪が多く、本人の意思ではないケースも少なくありません。一方で、10代になると精神的な自立心が芽生え、家族や学校、友人関係に悩みを抱えた結果、家出という手段を選ぶことが多くなります。
どちらの場合も、早期に対応することが非常に重要です。
受験・勉強のストレス
10代の家出や失踪にはさまざまな理由がありますが、受験や勉強によるストレスは特に多い原因のひとつです。
成績が伸びない焦りや、友人との比較、進路への不安に加え、親からの期待や叱責が重なることで、「逃げたい」という気持ちが強まることがあります。
特に受験期には、「失敗できない」という重圧を感じ、現実から逃れるように姿を消す現実逃避型の失踪へ発展することも。
厳しいしつけや過度なプレッシャーが、知らず知らずのうちに子どもを追い詰めているかもしれません。まずは冷静に見直す視点が必要です。
人間関係(友人・恋人)によるトラブル
思春期の10代は、人間関係にとても敏感な時期です。
仲の良かった友達とうまくいかなくなったり、恋人と気まずくなったりすると、それだけで心がいっぱいいっぱいになってしまうことがあります。
たとえば「最近無視されてる気がする」とか、「急に冷たくなった」と感じるだけでも、本人にとってはかなりつらいものです。
そうした違和感が積み重なっていくと、「もう家にいたくない」「どこかに行きたい」と思ってしまうこともあるでしょう。
SNSで知り合った相手を頼って、家族に何も言わずに出ていってしまい、行き先がまったくわからなくなるケースもあります。
もし、最近様子が違うなと感じることがあれば、その小さな変化を見逃さずに声をかけてみてください。
それだけで、気持ちが軽くなることもあるかもしれません。
家庭内での暴力や虐待
家族からの暴力や虐待が、子どもを家出や失踪に追い込む原因となることがあります。 身体的な暴力だけでなく、怒鳴る・無視する・過剰に干渉するといった精神的な虐待も、子どもの心に深い傷を残します。
中には、親から性的な被害を受けているケースもあり、本人は強い恐怖や恥ずかしさから誰にも言えず、ひとりで苦しみを抱えたまま家を出てしまうこともあります。
このような状況では、「とにかくここから逃げたい」という一心で、突然姿を消すことが少なくありません。たとえ見つかったとしても、心や体に深い傷を負っている可能性があり、周囲には丁寧な心のケアが求められます。
大人が思っている以上に、子どもは家庭内で傷ついていることがあります。子どもの様子に違和感を覚えたときは、そのサインを見逃さず、声をかけたり、安心できる場所や相談窓口へつなぐことが大切です。
子どもが出している小さなSOSに、大人が気づける環境をつくることが、最悪の結果を防ぐ第一歩になります。学校や地域、そして社会全体で、孤立する子どもを生まない取り組みが求められています。
家出ではなく事件・事故の可能性を疑うべきとき
10代の失踪すべてが「家出」だとは限りません。
中には、交通事故や誘拐、闇バイトの勧誘、犯罪被害など、本人の意思とは無関係に巻き込まれてしまったケースも存在します。
特に最近では、「高収入」や「簡単に稼げる」といった言葉で誘い込まれる闇バイトが、10代を狙ったトラブルの温床になっており、家族にも知られず行方をくらませるきっかけになることがあります。
もし、突然連絡が取れなくなったり、普段の様子と明らかに違う兆候があった場合は、「家出」と決めつけず、事件・事故の可能性を考慮し、速やかに警察へ相談することが大切です。
【年代別】成人が家出・失踪する理由とは?
成人の家出や失踪には、10代とは異なる背景や事情が存在します。
経済的な問題、人間関係のもつれ、家庭や職場でのストレス、精神的な不調など、年齢やライフステージごとに原因が複雑化しているのが特徴です。
特に現代社会では、「周囲に頼れない」「迷惑をかけたくない」といった思いから、問題を抱えたまま姿を消すケースも少なくありません。
ここでは、20代〜高齢者まで、それぞれの年代に多く見られる失踪理由について整理してご紹介します。
20〜30代の失踪理由:仕事・恋愛・経済的問題
20代〜30代というのは、人生の中でも変化が大きい時期です。
社会に出て働きはじめたり、恋愛や結婚を経験したり、独り立ちしていく中で、誰にも見せられない悩みを抱えてしまうことがあります。
たとえば、仕事でうまくいかなかったり、将来が見えなくなってしまったり。
上司や同僚との関係に疲れて、会社に行くのがつらくなる人もいます。
一方で、恋人との別れや、予想もしなかった出来事が心の負担になって、「このまま消えてしまいたい」と思うこともあるかもしれません。
また、奨学金の返済や生活費に追われて、身動きが取れなくなるような経済的な苦しさも、誰かに打ち明けられない理由のひとつです。
「もう限界かもしれない」と感じたとき、人はふっとどこかへ行きたくなってしまうもの。
そんなときこそ、そばにいる人の一言や、小さな気づきが、本人を思いとどまらせるきっかけになることもあります。
40〜50代の失踪理由:家庭・仕事・社会的孤立
40〜50代は、家庭や職場で多くの責任を担う年代です。
子どもの進学、親の介護、家計の維持といった重圧が日々の生活にのしかかり、「誰かのために頑張り続ける」ことが当たり前になっている人も少なくありません。
しかし、家でも職場でも心が休まらない状態が続くと、「このまま消えてしまいたい」と感じることがあります。
離婚問題や家庭内の不和、職場での評価の低下などが重なると、自分の存在意義を見失ってしまうこともあります。
この年代は「弱音を見せてはいけない」と思い込みやすく、限界を超えても誰にも頼れずに、ある日突然姿を消してしまうケースもあるのです。
「しんどい」と声に出すこと、「頼ってもいい」と伝えること。
そんな小さな一言が、大切な人の心を救うきっかけになるかもしれません。
60代以上の失踪理由:孤独・健康不安・認知症
60代を過ぎると、気づかないうちに「孤独」が生活の中に入り込んできます。
子どもが独立し、仕事もひと段落ついた頃には、「自分はもう誰の役にも立っていない」と感じてしまうことがあります。
体の調子が思わしくなかったり、持病の不安をひとりで抱えていたりすると、「これ以上、家族に迷惑をかけたくない」と思い詰めることもあるでしょう。
そうした思いが積み重なる中で、誰にも告げずに家を離れてしまうケースが見られます。
また、認知症が原因で外出先から戻れなくなり、そのまま行方が分からなくなるという事例も少なくありません。
本人には「出かけた」という意識しかなくても、周囲にとっては深刻な失踪になってしまうのです。
高齢者の失踪を防ぐためには、難しいことをする必要はありません。
日々の何気ない会話や気遣い、「あなたを気にかけている」という思いを伝えることが、何よりの支えになります。
宗教関係による失踪
宗教がきっかけで、家族や友人に何も告げずに姿を消してしまう。
そんなケースは、実際に少なくありません。
特定の宗教団体に深く傾倒するようになると、それまでの人間関係や生活から距離を置きたくなることがあります。
「家族が理解してくれない」「信じているものを否定されたくない」と感じたとき、何も言わずに家を出てしまう人もいるのです。
中には、団体の施設で共同生活を始めたり、外部との接触が制限されることもあり、家族の呼びかけが届かなくなってしまうケースも見られます。
本人にとっては「信仰の道を選んだ」つもりでも、家族にとっては突然の失踪に映ります。
このようなケースでは、本人の意思が非常に強く、話し合いや説得が難しいこともありますが、
それでも「あなたのことを大切に思っている」「いつでも戻ってきてほしい」という気持ちを伝え続けることが、関係を取り戻す小さな一歩につながるかもしれません。
失踪につながる主な原因一覧
- 異性トラブル:恋愛のもつれ、駆け落ち、不倫の末の逃避など
- 家庭の問題:DV、しつけをめぐる対立、夫婦間の不和など
- 職場・仕事の悩み:リストラ、会社倒産、職場の人間関係など
- 学業の悩み:受験失敗、不登校、SNSいじめなど
- 健康・病気:精神疾患、重病の告知、手術への恐怖
- 借金・金銭問題:ローン返済、取り立てからの逃避
- 犯罪や関係者からの逃避:加害・被害問わず関与してしまったケース
- 宗教や思想:宗教団体への入信、出家など
- その他:都会への憧れ、将来の夢と家族の対立、誘拐の可能性
家出・失踪時に警察に相談すべきことと警察の役割
警察への行方不明者届の提出と準備
大切な人が突然いなくなったとき、まず行うべき対応のひとつが「行方不明者届」の提出です。この届出によって、警察の情報網に登録され、職務質問や巡回中の確認などを通じて発見される可能性が高まります。
以下のような状況がある場合は、できるだけ早く届け出ることが重要です:
- 自殺の恐れがある
- 事件や事故に巻き込まれた可能性がある
- 未成年や高齢者が突然姿を消した
届け出時には、顔写真や住所・氏名・服装・行動履歴など詳細な情報が求められます。原則として、家族や親族などの近親者が届け出を行います。
警察の捜索範囲と限界(民事不介入の原則)
警察はすべての失踪に積極的に動けるわけではありません。事件性があると判断されれば本格的な捜索が行われますが、自発的な家出と判断された場合には、対応は限定的になります。
成人で健康に問題がないケースでは、本人の意思に反して保護することは法律上できません。この「民事不介入の原則」を理解しておくことで、警察に過度な期待をせず冷静に判断することができます。
警察から得られる情報とその活用法
警察に届出を出すことで、職務質問時の位置情報や、目撃証言、就職先情報などが得られる場合があります。
こうした情報は、探偵や調査機関による捜索にも有効に活用できます。
冷静で丁寧なコミュニケーションが、警察からの情報提供を得る鍵になります。
探偵社に伝えておくべき情報
探偵が手がかりを得るためには、あなたからの「小さな情報」がとても重要です。
名前や服装といった基本情報だけでなく、「なぜ家を出たのか」や「どんな様子だったか」といった背景まで、できるだけ詳しく伝えるようにしましょう。
たとえば、部屋に残された雑誌やガイドブック、日記の走り書きやSNSの投稿内容から、行き先のヒントが見つかるケースもあります。
また、借金の督促状や友人との連絡履歴も、見落とせない情報源になります。
「これくらいで役に立つかな…」と思うことでも、調査の糸口になることがあります。
一つひとつ、丁寧に探偵に共有するようにしましょう。
まとめ
家出や失踪の背景には、ほとんどの場合で第三者の存在や協力が関係しています。
そして探し出す側にもまた、警察や探偵といった専門家の力を借りることが、早期解決の鍵になります。
失踪の「原因」や「動機」を丁寧に読み解き、わずかな手がかりを見逃さずに追うこと。
調査員による人海戦術が有効な場面もありますが、その分、調査費用が変動する可能性もあるため、緊急性やリスクに応じて判断することが大切です。
今、大切な人の行方が分からず悩んでいる方は、まず一歩踏み出してみてください。
日東探偵社では、家出・失踪・行方不明の無料相談も受け付けています。
この記事の監修者
株式会社Nitto(日東探偵社)本部
記事の監修担当者:獅子田純華
年間1000件の人捜し成功実績を誇る人捜し調査のスペシャリスト
人探し・行方調査・所在調査などを専門として行う捜索のプロ!探偵興信所・日東探偵社の代表。
復縁についての相談実績多数!
