名古屋地裁「プライバシー侵害」
捜査対象者の車にGPS(全地球測位システム)端末をひそかに取り付ける捜査手法をめぐり、名古屋地裁が昨年12月、警察が摘発した連続窃盗事件の判決で「プライバシーを大きく侵害するもので違法」と判断したことが分かった。大阪地裁が昨年6月に同種事件での初の違法判断を示しており、2例目とみられる。大阪の事件は15日から控訴審が始まり、検察側は引き続き違法性を否定する方針。
名古屋地裁
奥山豪裁判長は昨年12月24日、住宅や店舗を狙った窃盗事件の男性被告(44)を懲役6年とした。判決によると、愛知県警は2013年6月、被告が乗る乗用車の底部に裁判所を装置。位置検索をしながら行動を追った。3か月後に被告が端末に気づいて取り外した後まで検索は1653回に及び、多い時は1日109回に達した。
判決は
位置情報を正確に把握できるGPS捜査を県警はいつまで続けるかも決めておらず、長期にわたるプライバシー侵害の恐れがあったと指摘。「任意の捜査として許される尾行とは質的に異なる」と批判し令状のないGPS操作は違法とした。事件当時は、こうした司法判断がなかった点を考慮し、被告側が求めた捜査資料の証拠排除は認めなかった。無罪主張の被告は控訴している。
昨年6月の大阪地裁決定は
令状なきGPS捜査を「重大な違法」と初めて認定し、捜査資料の一部を証拠から外した。ほかの証拠から有罪とされた被告側が大阪高裁に控訴。「違法捜査による起訴は無効。有罪でも量刑に考慮すべきだ」と主張する。
検察側
GPS捜査は尾行の補助手段。令状なしでも行えると正当性を訴える方針だ。
探偵興信所とGPS
尾行する際、調査対象者車両にGPSを取り付けるのは重要な目的がある。浮気調査、不倫調査、行動調査、素行調査、不正調査など、尾行中心とした車、バイクでの追跡。それは調査対象者を見失っても追いつけるから安心だ。あくまでも保険として有効に使用している探偵会社が多い。しかしGPSに100パーセント依存して追跡を行う探偵は失格だ。
探偵興信所でのGPS取り付けを失敗した調査員は、取り付ける時に焦ってしまい対象者車両の下側を除けば黒い塊のGPSが見えてしまう。度胸の問題もあるが、へたくそな調査員、経験不足の調査員、新人調査員に多い。センスのない調査員は論外だ。どんな場面でも冷静に取り付けることだ。そしてどこに取り付けるかがキーポイント。
今回、警察が捜査対象者にGPSを取り外されたのは、3月間、GPSを取り付け追跡をしていたとのこと。その間には、窃盗を繰り返し、後ろめたいやましい心がある対象者である。警察を意識することが間違いない。探偵の尾行調査でも、犯罪者を尾行するなら特に警戒心が強いケースと似ている。
プライバシーの侵害もあるが、犯罪者に対しては法改正をすぐにでも行うべきである。少しでも犯罪を抑止していただけるならと思う。
※2016年3月大阪最高裁では、警察が裁判所の令状なしに無断で捜査対象者車輛にGPSを取り付けたことは
重要な違法性はないと控訴を棄却された。