離婚したあと、子どものことで悩む親は少なくありません。
養育費はいくらか?別居したほうの親はどんな頻度で会うのか?離婚をどう伝えるのか?・・・・・・・・・・
関係のこじれた親同士が話し合うのは難しいため、解決を支援する取り組みが広がっています。
NPOなどが取り組み
東京都の30代の男性会社員は先月、離婚した。もうすぐ3歳になる長男は、元妻と暮らしている。
離婚する前の協議で、長男が20歳になるまで男性が養育費を月4万円ずつ支払うことや、定期的に会う「面会交流」については合意した。ただ、男性には「子どもの成長を見守りたい」という気持ちがあり、「会える頻度や、誕生日や小学校入学などの節目にかかわれるかどうか決めたい」と思った。
元妻に相談し、一緒に「離婚と親子の相談室 らぽーる」NPO法人日本リザルツが10月に始めた。ここでは、ADRという方法で問題の解決を目指す。
ADRとは
裁判外紛争解決手続き・・・と訳される。
訴訟を起こさず、第三者を仲介して当事者同士が話し合う。ADRを使った支援は広がっているが、養育協議に特化して支援するのは珍しい。
らぽーるのADRでは、弁護士が同席して、養育費の額や支払い方法、面会交流の予定などを決める。
そして、それらを盛り込んだ「共同養育計画合意書」をつくるのは、公証役場に出して公正証書とし、法的な効力を持たせるためだ。
元妻は「先のことはわからない」と合意書をつくることには同意しなかったが、話し合いは続けることになった。利用料は申し込みによって変わる。合意書を作るには、申し込みに親がそれぞれが3000~4000円、相談1回にそれぞれ1万円かかる。
公証役場に出す場合はさらに手続き代理費用にそれぞれ2000円と、役場の手数料がかかる。
らぽーる
離婚が子どもに与える影響や、離婚後の親の子育ての協力について学ぶ「親教育プログラム」も開いている。
10月にあった第一回は約20人が参加し、父母それぞれの役割について意見を出すなどした。
養育支援を担当する日本リザルツ事務局次長の鈴木裕子さんは「親の感情はいったん置き、子どものために冷静に話し合う場が必要。難しい場合が多いのは承知しているが、親同士の対立が深刻にならないうちにきっかけをつくりたい」と話す。
厚労省
2014年の離婚件数は22万2107件。
うち父か母どちらかが親権を持ちことが必要な20歳未満の子がいる割合は6割の12万9千件だった。
ひとり親世帯を対象にした11年度の厚労省の調査で、母子世帯の年間収入の平均は291万円(10年)。
離婚による養育費の取り決めをしているのは37.7%、養育費を受けとっていると答えたのは19.7%にとどまり、養育費を受け取っていないことが母子世帯の厳しい経済状況の一因になっていることがうかがえた。
【離婚後の養育費】
取り決め | 37.7% |
受け取り | 19.7% |
【面会交流】取り決めしているのは
母子世帯 | 23.4% |
父子世帯 | 16.3% |