離婚した夫婦の子どもを親権者に引き渡す際の具体的なルールが初めて明文化されることや、債務者の財産情報について開示規定を設けることなどが柱だ。子供の引き渡しのルールについては一部で賛否が分かれており、今後修正される可能性もある。
目次
中間試案のポイント
旧 | 新 | |
離婚した夫婦間の子どもの引き渡し | 法律上のルールがなく裁判所がその都度、方法を判断 | 裁判所が強制的に子供を連れだす際のルールを明文化 |
支払いに応じない債務者の財産情報 | 債権者が債務者の口座や勤務先を突き止めねばならない | 講座情報や勤務先の情報開示を求められる制度を新設 |
不動産競売からの暴力団排除 | 排除の策がなく、落札した不動産が暴力団の拠点や資金源に | 警察に身分照会し、売却も不許可に |
子供の引き渡しをめぐる中間試案の内容


養育費取り立て促す
中間試案ではまた、債権者から申し立てを受けた裁判所が、金融機関の本店に債務者の口座の有無や口座がある支店名、口座残高などの開示を、市区町村などにも納税情報などをもとにした債務者の勤務先の開示をそれぞれ命じられるようにした。これまで債権者は、金融機関の支店名まで特定しなければ、裁判所に差し押さえを申し立てることができず、勤務先の情報も入手が困難だった。離婚後の夫婦で、養育費の支払い義務があるのに拒んでいる相手から、取り立てやすくする効果が期待されている。
離婚、家族問題に詳しい弁護士の声
現場の混乱を防ぐ意味でも、ルールの明文化には賛成。ただ、家族によって抱える問題は様々で、向き合う事例ごとに弾力的に運用できる制度にすべきだ。例えば、中間試案では強制執行前に現金を支払わせることで子供を引き渡すように促す期間(2週間)を設けているが、子供への虐待が疑われるケースなどは一刻を争う。子供を渡す側の親が立ち会った場で引き渡すとする原則も、親が激しく抵抗する姿を見た子供に心の傷を残す場合もある。子供の心情に配慮した方法を選べる形を目指して欲しい。
離婚や家庭内暴力(DV)問題に取り組む弁護士の声
今の試案は子供を人として扱う枠組みで議論していない。見知らぬ執行官に連れていかれることは、子供にとって「誘拐」に等しい。子供は、心を持った人間だからだ。引き渡しは子の福祉の為の手続きで、トラウマを負わせてはいけない。子供が納得して先方の親のところへ行けるよう、裁判所は、父親と母親の双方を呼び出し、子供の心の臨床経験のある専門家の関与を得て子供に説明し、温和に進めるべきだ。あくまで子供が引き渡しを拒んでいたら、執行は控えるべきだ。
離婚問題解決は、探偵興信所・日東探偵社にお任せ下さい。
