令状なしのGPS捜査は違法と判決

裁判所の令状をとらずに捜査対象者の車輌にGPS端末を設置して行動確認する「GPS捜査」について、最高裁大法廷は15日、プライバシーを侵害しており、令状なしの実施は違法とする初判断を示した。今後のGPS捜査について、「新たな法律をつくることが望ましい」とも述べた。

判決のポイント

GPS捜査は、個人の行動を継続的、網羅的に把握するもので、プライバシーを侵害する、公権力による私的領域への侵入というべきだ。
私的領域への侵入は、憲法35条が保障する「令状なしに家宅捜査や所持品の押収をされない権利」を侵害する。GPS捜査は、令状が必要な強制捜査といえる。
車輌や罪名を特定しただけでは、容疑と関係ない行き過ぎた行動把握を抑制できない。令状を出すには疑義があり、GPS捜査の特質に合わせた立法が望ましい。

15人の裁判官全員一致の意見。警察庁は翌日、車輌へのGPS捜査を控えるよう都道府県警に指示した。判決で大法廷は、憲法35条が定める「令状なく住居や所持品に侵入、捜索を受けることのない権利」について検討。住居だけではなく、「これらに準ずる私的領域に侵入されない権利が含まれる」との新解釈を示した。その上でGPS捜査について「プライバシーが守られるべき場所も含めた移動を継続的、網羅的に把握することが可能」と指摘。憲法35条の権利への「公権力の侵入」にあたり、裁判所の令状が必要な「強制捜査」だと判断した。

捜査機関乱用に警鐘(解説)

GPS捜査は、違法な高速走行などで尾行逃れを繰り返す相手への対策として、有効性が高かった。犯罪捜査には一定のプライバシー侵害がつきもので全く許されるわけではない。新しい技術を使って捜査機関が情報を得ることは、自白重視から客観証拠重視へと変わりつつある刑事裁判の流れにもかなう。それでも最高裁大法廷は、位置情報を網羅的に把握できるGPS技術の特性を重視。法律に根拠がなければ侵害できない「私的領域」を従前より広くとらえる踏み込んだ憲法解釈を示して立法を促し、捜査機関の乱用に警鐘を鳴らした。GPSに限らず、メールや防犯カメラ映像など、技術の進歩で個人が様々なデータを残すことは避けられない。人権を守りつつ、捜査機関は、明文化されたルールのもとで情報を扱うことが求められる。

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