女性のみに規定された6か月の再婚禁止期間は「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子」と推定する「民法772条とともに、戸籍のない「無戸籍児」を生む要因となっている。
離婚後300日以内に生まれた場合、前夫の戸籍に記されてしまうため、新しいパートナーとの間の子の出生を届けず、無戸籍になる例があるからだ。
法務省は2007年、離婚後に妊娠したと医師が証明すれば前夫の子と扱わないという民事局長の通達を出し、救済を図った。だが離婚前の妊娠は対象外で問題は解決していない。
無戸籍の人について、法務省は14年に初めて実態調査を実施。15年11月時点で全国に680人を把握している。うち76%が「(前)夫の嫡出推定を避けるため」と理由を挙げた。
戸籍のない人 全国に680人
- 前夫の嫡出推定を避けるため・・・・・・・・・517人(うち49人がDVある人)
- 不明、その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・124人(うち3人ネグレクト育児放棄や母の失踪)
- 記憶喪失などで本籍が認識できない・・・・・39人
どんな不利益?
- 住民票がない
- 児童手当や児童扶養手当、予防接種、健診などのサービスを受けれないこともある
- 学校に行けないと誤解しているケース
- パスポートを作れないなど
※ 一定の条件のもとなどで救済されたケースをのぞく
戸籍がないと
原則として住民票が作られず、児童手当や予防接種、健診などの住民サービスを受けられないことがある。
国民健康保険に加入できないこともある。国は、住民票がなくても居住実態を確認できればこうしたサービスを提供するよう自治体に通知している。
仮に再婚禁止期間がなくなると、子の出生届や戸籍はどうなるか?
民法772条は「結婚後200日を過ぎた後に生まれた子は現夫の子」とも推定する。
不安要素としては、父親の推定が前夫と現夫に重なった場合、出生届は父未定のまま出すことになる。父を法的に定めるには、裁判が必要になるだろう。
子の気持ちを考える講座
子どもは、離婚を自分のせいだと思い込んだり、離婚後も親から愛してもらえるのかと不安になったりしがちだ。こうした心情を知り、離婚後の子育てを子どもの立場から考える「FAITプログラム」の開発が進められている。養育費を受け取っていないことが母子家庭の厳しい経済状況の一因になっていることがうかがえた。
親の離婚は子にとってとても影響がある。離婚後の原因については、DV・浮気・不倫・経済面・性格の不一致など様々であるが、親の無責任さが浮き彫りである。離婚も新しい人生の出発になるが、離婚を十分深く考えてから生活を安定させて慰謝料・財産分与も大切ではあるが、子を一番に考えて決めてほしい。
「親子の関係は離婚後も続くことを子どもに伝えることが大切」